● 英語と米語はどう違う?
英語、と言えば文字通りイギリスが本家ですが、
現在ではイギリスで使われている言葉を英語、
アメリカで使われている言葉を米語と呼んで特に区別する場合があります。
スペルや発音上のわずかな違いから、言い回しや語順、文法上の違いなどを
知っておくことは、旅行や仕事などで現地に出向いたときにとても役立ちます。
「米語は英語の方言のようなもの」と見なす考えもありますが、
それぞれに歴史や国民性が色濃く反映され、土地の文化を蓄積しながら
常に変化し続けているものです。
そうしたダイナミズムこそが、世界を駆け巡る生きた言語の
パワーの源となっているのです。
● 「サッカー」or「フットボール」?
たとえば名詞だけを見ても、英語と米語では全く違う呼称を使っているものが
たくさんあります。
具体的な例を少し挙げてみます。
「携帯電話」=mobile/mobile phone(英)/cell(ular)/cell(ular)phone(米)
「サッカー」=football(英)/soccer(米)
「幼稚園」=nursery(英)/kindergarten(米)
「地下鉄」=underground, tube(英)/subway(米)
「庭」=garden(英)/yard(米)
面倒なのは、イギリスでは建物の1階をground floor、
2階をfirst floorと呼ぶのに対し、
アメリカではシンプルにfirst floorから始まることなどです。
両国を行き来するときは、頭の切り替えが必要になりますね。
● 英語と米語の混用はタブー
その他、文法的な違いでは、時制の表現や単数形・複数形の使い方、
同じ動作について使う単語、スペルなどにおいて細かな違いが見られます。
たとえば、「手を洗う」は、イギリスではwash my handsですが、
アメリカではwash upとなり、
「風呂に入る」はイギリスでhave a bathに対して
アメリカではtake a bathであるなど、
覚えておくべきことはたくさんあります。
また、イギリスかアメリカへの留学を考えている場合などは、
現地の用法に統一して勉強し、英語と米語を混用しないことが大切です。
正統的なイギリス英語は「キングズ・イングリッシュ」と呼ばれますが、
女王治世中の現在は「クィーンズ・イングリッシュ」となるので注意しましょう。
アメリカ人からは、やや堅苦しい発音のイギリス英語を話すイギリス人が
気取った風に見えるのか、そのことを揶揄するような場面がよくありますし、
反対にイギリス人がアメリカ人を田舎者扱い(?)することも、
もちろんなくはありません。
しかしどこの国であろうと、人は誰もが地元びいきで、
相手の方言を軽くからかったりすることは日常的に見られることであり、
言語が血の通った生き物である、という何よりの証拠でもあるのです。