● 日本の英語教育の開始からその排斥まで
日本の英語教育の歴史は、いつから始まったのでしょうか。
その始まりは、明治維新にまでさかのぼります。
1854年に日米和親条約が締結され、鎖国が解かれた日本には、
西洋から海外の様々な文化が入ってくるようになりました。
その中には、英語のテキストや英字新聞も含まれており、
西洋の文化を吸収するために英語の書物も次々と日本語に訳されるようになりました。
その様な中、諸外国に追いつき、追い越せを念頭に改革を行っていた政府によって、
西洋に倣った近代的な学校制度の整備も行われ、この時に外国語としての英語教育が開始されました。
この時期には小学校で英語教育が行われていたこともあったといいます。
しかしその後、日本語を重視した教育方針への転換にあたって
小学校での英語教育は中止されてしまいました。
そうした歴史があった後、日本の英語教育に大きな転換が訪れたのは、
日中戦争から第二次世界大戦にかけてです。
アメリカやイギリスといった敵性国の言語であった英語は排斥され、
既に定着していた言葉も日本語へと置き換えられるようになりました。
● 戦後から現代の日本の英語教育の歴史
第二次世界大戦の後、とまっていた日本の英語教育の歴史は再び動き出し、
中学校や高等学校では英語の授業が再開されました。
しかし、基本的な教育は、同じアジアの中の他の国と違い日本語で行われ、
英語の授業においてのみ英語が教えられるといった形での授業となっていました。
これは、専門書などの翻訳書が充実していたことに理由があると考えられています。
一方で現代では、完全に英語で授業が行われる学校なども出てきており、
日本の英語教育の方針が転換されつつあると言えるでしょう。
グローバリゼーションが進む中で英語教育に関する考え方は日々変化しています。
2011年には小学校における英語教育の必修化が決定され、
2013年には明治維新以来初めて小学校での英語教育が再開されました。
また、2013年には高等学校における英語教育を基本的に英語で行うことが決定されるなど、
英語はこれからの時代を「生き抜く」ための必須となる力として、
高い重要度を持つ事項だと認識されるようになっています。
このように、英語を取り巻く歴史は変化し続けており、
現代を生きるにおいて、より重要なものとなりつつあるのです。